(ここから拙著「下北沢カレーフェスティバルってなんなん?」よりコピペした文章が始まります。2021年10月に書いたもので、最初の前書きみたいな文章です)
今年で下北沢カレーフェスティバルが10年目となる。
2012年から始まり、毎年10月に開催してきた。
数年前から、下北沢カレーフェスティバルの「歴史」というと大げさだが、このイベントがどういう風に始まったかについて、記録を残しておきたいと思いながら、なかなか書けずにいた。
10周年の記念にかこつけて、やっと記録を書くことができた。
このタイミングを逃すとこのままずるずる一生書かないような気がしていたので、こうして書くことができてよかったと思っている。
書こう書こうと思ってなかなか書きだせなかったのには2つ理由があった。
1つ目の理由は単純に時間がなかった。
日々の生活や仕事に追われ、一日の中で自由に使えるのは数時間だ。
その数時間も仕事を終えた後の疲れきった状態の数時間であったり、仕事で疲れた体を休めるための数時間だったりする。
机に向かってひたすらパソコンで文字を打つ。仕事と変わらない作業を、疲れた体でするのは大変で、やろうと思ってもなかなかできずにいた。
2つ目の理由は、そもそもこれを書くことに意味があるのか、書く必要があるのか、葛藤があったことだった。
私(岩井)は、下北沢カレーフェスティバルというイベントを考案して、最初の3年間は総合プロデューサーという肩書でイベントの運営を担ってきた。
しかし、4年目以降は「いろいろ」あり、10年目を迎える2021年の現在ではアドバイザーのような立場で関わっている。
アドバイスをしたりアイデアの提案を多少するものの現場で動いていない。
「カレーフェスの歴史」のような話は今も現役で活躍している人が語るからこそ価値があり、今現役の第一線にいない人が語っても思い出話や自慢話になってしまうような気がして、これを書くのは何のため?自分のため?過去の栄光にとらわれすぎているのでは?という自問自答があり、なかなか書き出すことができなかった。
インタビューや取材の依頼がくればいくらでも話すのだが、残念ながらそういった話は全く来ない。
しかし、そうは言っても10年も経つとすでにかなりの記憶はなくなっており、これから先、記憶は減る一方で増えることはない。
このタイミングで書いておかないと、この先もう書けない気もする。
そもそも歴史の記録というのは、頼まれて書いている人ばかりではなかったのではないか。
仕事で依頼されて書いた人もいれば、自分の意志で書いていた人もいる。
紀元前100年頃にいた中国の歴史家で「史記」を書いた司馬遷は後者だった気がする。
「書きなさい。誰かのためじゃなく、自分自身のために」
心の中のミサトさんが背中を押してくれた。
これを読みたいと思う人が一人もいなくてもいい。
少なくとも私自身は、自分がやってきたことはなんだったのか、まとめて見直してみたいと思っているし、このイベントに関わってくれた方の中にも、この記録に興味を持ってくれる人が少しはいると思う。世の中には物好きな人もいるし、これから町おこしイベントをしたいと思っている人の中にも興味を持ってくれる人がいるかもしれない。
自慢話になってしまってもいい。
文字にすれば、誰かに無理やり聞かせるわけではなく、読みたい人が手に取り、読みたい部分だけを読む形で伝えられるから。
面白い文章にならなくてもいい。
こういうことがあったという事実を伝えられればそれでいい。商売として何万部売ろうという話ではないから、構成とか、盛り上がりとか、笑えるかとか、そういうことは考えなくてもいい。
事実と間違っていてもいい。
本当はよくないけれど、それでも今は、覚えている範囲のことを、残っている資料と照らし合わせて、ただただ記録として書き出してみればいい。もし間違っていたらその時は謝罪し、訂正して、改訂版を作ればいい。(できる範囲で当時の資料を確認しながら書きましたが、それでも事実と異なっていることも沢山あると思います。もし、ここは事実と違うよ、というところがあれば岩井まで教えてください。お詫びして修正いたします。人によってはこのイベントに関わっていたことを秘密にしたい方もいるかもしれないので、メディア等に名前を出している一部の方をのぞき、お名前はイニシャルや通称で表記しています)
そういうことを悶々と考えながら書いてみた。気づけば全部で11万字を越えた。
一冊の本というのはだいたい10万~20万字でできているそうだ。
本としては字数が少な目だ。
もしかしたらこれは薄い本というのかもしれない。
薄いとは言え、11万字はやっぱり多い。
お時間あるときに少しずつ読んでみてください。
「下北沢カレーフェスティバルってなんなん?」
はじまり、はじまり。 (②へ続く)
(こんな感じで週1くらいで続きを更新していきます。連載を待つのがめんどくさいと思う方はnote買ってください。300円です)