2021年のF1日本グランプリが行われるはずの週末、F1はトルコでグランプリ開催となった。ホンダがF1参戦終了を宣言し、ホンダが手がけるパワーユニットが観られるラストチャンスだっただけに、本当に残念だった。が、F1側になにか問題があるわけではなく、問題は日本という国にあったのだ、、、オリンピックも開催したというのに、F1が開催できないとは思ってもいなかった。
日本グランプリの特別なカラーリングが施されたレッドブルホンダのマシン、しかし、予選ではメルセデスが速さで圧倒する。Q1こそトップのハミルトンに僅差のタイムで迫るフェルスタッペンだったが、Q2ではタイム差が広がり、Q3でもメルセデスの2台を上回ることができず3番手タイム。ハミルトンがパワーユニット交換(ICE)のため10グリッド降格したこともあり、ポールポジションはメルセデスのボッタス、フェルスタッペンは2番グリッドから決勝レースを戦う。久々のQ3進出を果たした角田は10番手のタイムをマークし、ハミルトンの降格に伴い9番グリッドとなった。
迎えた決勝レース、雨は上がっているが路面は濡れておりウエットで全車インターミディエイトタイヤでレースはスタート。ポールポジションのボッタスがスタートを決め、フェルスタッペンの先行を許さない。一方、11番グリッドからスタートしたハミルトンだが、序盤で角田をなかなかオーバーテイクすることができずタイムロス、その後、順調にポジションを上げるがトップグループにはなかなか近づくことができない。
一方、2番手を走行するフェルスタッペンはタイミングを計りペースを上げるも、ボッタスもそれに反応しギャップを詰めさせない。路面は引き続き微妙なウエット状態で、ドライタイヤを投入するような状況には至らない。36周目にフェルスタッペンがピットインしインターミディエイトに交換すると、翌周にボッタスも同じくピットインを済ませ実質のトップ争いに大きな変化は見られない。一方、ハミルトンはピットストップを遅らせ、ボッタスとフェルスタッペンに次ぐ3番手までポジションを上げる。
ピットではハミルトンのタイヤ交換の準備を行うが、ハミルトンはステイアウトを選択。路面状況への読みが難しい中、ドライブするハミルトンとチームの意見が一致しない状況が続くが、58周レースの最終盤50周目にピットイン。5番手から猛然と前の車を追い始めるが、タイヤの状況が難しくペースが上げられない状況で苦しむ展開。一方、トップのボッタスは56周目に全セクターベストでファーステストラップを記録すると、2番手フェルスタッペンに対して15秒近い差をつけトップでチェッカーを受ける。3位はハミルトンと好バトルを繰り広げたペレス、4位には一次トップを走行したルクレール、5位ハミルトン、以下、ガスリー、ノリス、サインツ、ストロール、そしてタイヤ無交換で走りきったオコンが10位というトップ10となった。尚、角田は途中スピンもあり14位で決勝レースを終えている。
フリー走行の段階からメルセデスの速さは際立っており、フェルスタッペンも若干弱気のコメントも見られたがある意味で敵失もあり、選手権ポイントでハミルトンを上回る結果となり価値のある2位表彰台だろう。そして、ハミルトンはチームとの考えの相違が全てだった。あのまま走りきる戦略も、ハミルトンならありだったかもしれない。そして、あのタイミングでピットインを促したチームの戦略もまた、より上位に食い込む結果となったかもしれない。ただ、ICE交換により11番グリッドからスタートしたにもかかわらず、また非常に読みが難しいコースコンディションの中で5位入賞により、ロスは最小限に止まったと言えるだろう
シーズンも中盤から終盤にさしかかり、チャンピオンシップの行方がどうしても気になってしまうが、やはり2021年のトルコGPは久々に見せてくれたボッタスのパーフェクトレースを讃えるべきだろう。来シーズンの移籍も決定し、今シーズンできる限りの結果をチームに残すことが求められているが、このような展開にキッチリと優勝を果たしたことの価値は大きい。まだまだ、今年のコンストラクターズはもちろんだがドライバーズチャンピオンシップにおいてもボッタスの果たす役割は大きい。
もう一つだけ、このレースで印象に残ったのはルクレールとチームの無線だ。ドライバーが求めていることを即座に理解し、より戦略上有利になる情報をチームは提示しなければならない中、ルクレールの問いに対し全く意味を持たない応答をしていたことに、まだまだフェラーリがチャンピオン争いをするのは先の話だと感じざるを得なかった。いやいや、そういうことちゃうねん、、、。