喫茶野郎のAC/DCコレクション
大阪・関西万博 公式キャラクターデザイン
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禊回『喫茶野郎のトラウマ、エアギター事件』

大阪・関西万博 公式キャラクターデザイン決定、もはや引くことはできない唯一無二の存在に

天下一品もつ鍋、〆はもちろんラーメンで

さあ、今回はAC/DCに初めて遭遇する話しをするのか…上手く書けるかな?とパソコンの前に座り、物思いに耽ってみる。頭の中で記憶を遡る旅に出る。

すぐ大変な事を思い出した。

危なかった。これを語らずにAC/DCのライブを体験したことを語る資格はない。何を都合良く、無かった事にしようとしていたのか。

この話、AC/DCは無関係ではない、むしろめちゃくちゃ関係している僕の闇の記憶。

今回、これを書くことによって禊を果たし、心も身体も清められた状態で次回、喫茶野郎のAC/DCの邂逅を書かして頂きたい。AC/DCを語るにあたって後ろめたい気持ちは一切なくしておきたいのだ。

というわけで今回は完全なハズレ回です。今すぐに読むのをやめてください。読んでもちょっぴり切ない気持ちになるだけです。全て自分の禊の為に書いています。時間は有限です、大切にしてください。それを承知した上で読み進めたい奇特な方は、引き続きお付き合いください。


それはいつ頃だったか、もはや良く覚えていませんが、初めて組んだバンドで東京へチョコチョコ遠征にも行くようになってました。
そして、ありがたい事に東京でのイベントにまたお呼ばれしたのです。場所は渋谷のo-crest?だったか…まあ、oなんちゃらです。呼んで頂いたバンドは…まあ良いでしょう。特に隠す必要もありませんが、あまり内容とは関係ないことなので割愛します。

当然、バンドメンバーは喜んで出演を快諾しました。が、当時バンドの窓口を担当していたボーカルがまだ何か言いたげな顔をしています。

『いや、ライブをするだけじゃなくて、エアギター大会もするから誰か1人出て欲しいって…。』

エアギター

そうだ、今思い出しました。当時、ダイノジの大地さんが世界大会を2連覇したとかで、結構エアギターが盛り上がっていたのです。

その時組んでいたバンドで、賑やかしの様な役目にいつの間にか割り振られていた僕は、どうせ他のメンバーはやらないだろうと

『面白そうやん?やってみますか!』

とピエロを演じ、安請け合いしました。
これが悲劇の始まりです。

エアギター大会に出る事にはなりましたが『ギター弾くマネして適当にやってりゃええんやろぅ〜』と大会に向けて何もしてませんでした。なめてました。すいません。

イベントの日が近づいても、エアギターに対しモチベーションがあがらず、ずんの飯尾さんばりに『ゴロゴロ〜ゴロゴロ〜』としてる僕にある日、バンドマンの友人が

『聞いたで!エアギター大会出んねやろ?これ、色々まとめておいたから参考にしてみ!』

と、なんと自分で編集したエアギターのDVDを僕にプレゼントしてくれました。

何と素敵な友人でしょう!

僕は心から感謝しました。
優しさという概念が具現化されたようなDVDを受け取り、友人に礼をいいました。本当に感謝はしていたんです。その気持ちに嘘、偽りはありません。これを観て、エアギターに臨もうと思っていました。本当に本当です。

しかし、エアギターに何もモチベーションを見出せていなかった僕は…

結局DVDを観なかったんです。

ただの1度も!!

今の僕がタイムスリップして当時の僕に会えるなら

『この大馬鹿野郎がぁ!!お前!!それを観なかった為にとんでもない事になるぞ!!数年は引きずるトラウマになるんだぞっ!』

と涙を流しながら横っ面を引っ叩き、鬼の形相で説教、そしてDVDを観るように説得した後

『もし、今からでも出場を断れるんだったら出ない方がいいよ?』

と提案しているでしょう。絶対に。

しかし、そんな知る由もない僕は、DVDも見ず、結局エアギターの練習もする事なく、イベント当日を迎えます。まだ僕に緊張感はありません。何故なら馬鹿だから。

衣装は半ズボン、そして別珍のジャケットを羽織りました。そう、もちろんAC/DCのアンガススタイルです。

僕が選んだ曲は
『Thnderstruck』
AC/DCの名曲です。

選んだ曲に間違いはありませんが、僕は未熟で卑怯者だったのです。というのは皆さんに衣装の事で、まだ言ってないことがありまして、万が一スベった時の為に顔がわからないよう、恥をかかないよう仮面舞踏会みたいなマスクを持ってきていたのです。

当然今思えば、スベった時の為にとか…もう戦う前から負けています。それ以前に戦う資格がありません。でも、恐ろしいことにその事実に気づいてないんです。馬鹿だから。

いよいよ開演が迫るに連れて、愚かな僕はやっと

『エアギターってそういやどうするん?一曲どうやって間を持たそう?』

今更ながら悩みます。そう考えて初めて、エアギターと向き合い、やっと緊張し始めました。しかし時すでに遅し。阿保です。阿保すぎます。バカバカバカ!!

でも、まだ何とかなるとも思っていました。何故なら

AC/DCだから!!

Thnderstruckだから!!

曲でもってったらええんや!!

ほんとにこう思ってました。
何の具体性もないダサい作戦!無謀過ぎて恥ずかしい!

そして何の作戦もないまま出番を迎えます。出順はトップバッター。ここまで間違いだらけの姿勢で大会に臨んできましたが、更に僕はエアギターに対する知識のなさから今回最大の誤ちを犯します。

僕が選んだThnderstruckは、91年、イギリスのドニントンでのライブで演奏されたものだったのです。92年に『LIVE』というタイトルで発売されたアルバムに収録されています。そのCDの一曲目がThnderstruckです。

知ってる方はもうおわかりでしょう。興味のある方は確認して欲しいのですが、Thnderstruckはそのライブの一曲目で、最初は観衆の嬌声、そして雷鳴が轟きます。結局、曲が始まるまで

1分30秒くらいあるのです(絶望)

曲が始まるまでそんなに時間がかかるのに、なんとCDがかけられた瞬間、スタッフの方に

ス『はやく出てください!』
僕『えっ!?いや、まだ曲がはじまってない…』
ス『いや、もうCDかかってるんで!!』

あまりの剣幕に押し出されるようにステージに出る僕。自分のタイミングで出るもんだと思ってたので、全然早い思わぬ登場に大いに焦りました。嫌な汗が吹き出ます。当然まだCDの音は歓声のみで音楽は鳴っていません。そしてお客さんの目線が一斉に僕に向けられます。

(ま、まずい。何かしないと…)

仕方ないのでアンガスヤングがいつもやる、右足2回、左足を2回ずつ踏んでリズムをとるステップ、というより足踏みをはじめました。

タンタン、タンタン
タンタン、タンタン

エアギター大会なのでギターを持つ格好もちゃんとやってます。もちろん持ってるギターはGibsonのSGのつもりです。でも、曲が始まってないので、上半身は動けません。不安で心が張り裂けそうです。でも僕に出来ることは左右の足を2回ずつ繰り返して足踏みする事しかありません。

タンタン、タンタン
タンタン、タンタン

永遠に思える程の長い時間、ライブハウスのスピーカーからはドニントンに集まった大勢の観客の声、そしてドニントンの会場でSEとして使われてる雷鳴しか流れていません。ざわつき始める会場にいるお客さん、僕はこのままではダメだと、自分を奮い立たせて

(せめてこの足踏みでロック魂を見せつけてやる!この足踏みでアンガス愛、AC/DC愛を見せつけてやるんだ!)

と、間違った意気込み方をしてしまい、無謀にもアンガス足踏み一本槍で更に勝負をかけます。

タンタン、タンタン
タンタン、タンタン

どれだけ意気込み、勢いをつけてアンガス足踏みをしようが、虚しい時間が流れていきます。それくらい僕にだってわかります。突然出てきた短パンジャケット仮面舞踏会人間が音楽も鳴っていないのに足踏みしてる光景に、お客さんが1人残らず困惑してるのもわかります。とんでもない空気です。

その時、僕は理解しました。

(あぁ、これが地獄か…。)

と…。

初めて見る、体験する、むしろ自分が創り出した地獄絵図に心が爆散しそうになるものの、それでも必死に、無我夢中で壊れたおもちゃのようにアンガス足踏みを続けます。

タンタン、タンタン
タンタン、タンタン

(も、もう少しや…ここを耐え忍べば、そろそろギターが鳴り始めるんや!そしたらこっちのもんやでベイビー!ロックンロールしたろかい!カモン!)

精一杯のダサい虚勢を張ることでギリギリ意識を保ち、遂に……遂に我らのギターヒーロー、アンガスのギターが鳴り響きます。地獄の中でボロボロになりながらも心を折らず、ステージから逃げずアンガス足踏みを続けた僕には神の福音が聞こえたも同然です。福音とはGibson SGを繋いだMarshallのアンプから鳴り響く爆音の事だったのです。

(待たしやがってアンガスさんよ!おっそいわ〜!よし!ここから盛り返すで!縦横無尽に暴れたる!ロック魂のエンジンにガソリンを入れんかい!ハイボルテージでぶちかましたるで!)

テレレレテレレレテレレレテレレレテレレレテレレレ⤵️(フェードアウト)

???

????

音が消えました。

僕は状況が飲み込めません。

司会の方が

『はい!どーもありがとうございましたー!』

(ん…?ん?待って…まだ終わりじゃ…ここからなの…ここからなんですよ…僕の…僕のエアギターは。AC/DC魂は…。アンガス魂は…。…これじゃ…僕…2分間足踏みしただけですよ?お客さんの目が1人残らず死んでるんですよ…。僕のせいで!こ、こんなんじゃあ…もう渋谷の街、歩けないですよ?…エアギター大会でしょ?そんな奴います?エアギターせずに足踏みして終わる奴なんて!待って!まだ終わりたくない!!嫌だ…嫌だーーーーーー!!!エアギタさせてーーーーーー!!!jtwma@あわやまsta@t86$289!!!!!!!!)

言葉が頭に浮かびますが口から出ていきません。視界に写る全てのものがグニャリと曲がり、少しずつ色が失せ、モノトーンの世界になりました。その様子を見ていた当時のバンドメンバーにも

『仮面を被っているのに、顔が土気色になっていくのがわかった。』

と言われました。

僕は大いに、盛大にスベったのです。誰も追いつく事ができない程のスベリ方をしたのです。スベリ日本一決定戦があれば、その年の覇者は間違いなくぶっちぎりで僕です。どんなお笑い芸人さん、そして日常を生きる全ての人々、全部差し置いて僕です。そう思ってしまう程の、どんな言葉でも形容し難い壮絶なスベり方で、その場から『本当に』消えて無くなりたいと思いました。

もちろん皆さんご存知だと思いますが、エアギターは通常ワンコーラスくらいでパフォーマンスするものなのです。ただ、僕はエアギターのルールを全く分かってないから一曲丸々やると思ってたんですね。今考えたら、そんなわけないやろとすぐわかります。やはり馬鹿です。

お客さんも、とんでもないものを見させられたものです。エアギター大会と聞かされて観に来て、短パンジャケット仮面舞踏会野郎が突然出てきてはCDから流れる歓声の中、一生懸命変な足踏みをして、エアギターをせずそのまま終わるという光景は異様であり、地獄であり、金返せと思った事でしょう。

審査員の方々もコメントに困ってましたよ!声は聞こえるけど、耳に入ってこなかったけどねっ!!

その後出てくる出演者のエアギターは、泣きべそをかいていたのか、それとも時空が歪んでいたのか、よく覚えていません。

精一杯の負け惜しみを言うなら、つるんつるん…本当につるんつるんとスベリ、それはスベリを超えてシュールとなった!と言っていいでしょう!…(涙)

今でもこの事を思い出すとフラッシュバックして

『ウアオッ!!!!!!!』

と変な声が出て、消え入りたい気持ちになります。ただ、この辛い過去を話した勇気をちょっとでも称えて頂けたり『馬鹿だなあ』と少しでも笑って頂けると救われます。

さあ、禊は済みました。心に残るモヤモヤを開放する事によって、AC/DCに対して抱いていた後ろ暗い想いは消え去りました!次こそ、AC/DCのライブに行った話を書きます!

あの時、DVDを観てさえ観ていればなぁ。後悔先に立たず、というよりエアギターなめたらあかん!何事も真摯に取り組もう!みんなも気をつけてな!アディオス!(涙)

今日のAC/DC

AC/DC – Thunderstruck (Live at Donington, 8/17/91)

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