①のつづきです。
「あんた、今年、かぞえの42か?ほなら、裏の立木観音、参ってきたらええわ。厄除けの観音様やさかい」
楽天トラベルで堂々の一つ星の宿、つぼた屋の主人に言われ、
「厄除け祈願行ってなかったし、ちょうどええわ」
と気軽な気持ちで立木観音(たちきかんのん)を参拝することにした。
本堂まで2キロあるという。
「若い人なら30分。年寄りでも45分くらいで行けます。運動にちょうどよろしいやろ」
40歳。あと2ヶ月で41歳。かぞえで42歳の本厄おじさんも、80歳のおじいさんの前では若者だ。
30分で行ってやろうじゃないか。
村を抜ける。
山の中に立木観音さんは祀られているようだ。
山の中だ。
あれ?
これ?
軽い登山じゃね?
汗が止まらない。
しかし、なぜだろう、
気持ちのいい汗だ。
心が洗われる。
ただ、あと何分歩けば着くのか、
不安で仕方ないので、
すれ違う人がいたら、その都度、
「あと何分くらいで着きますかね?」
と聞いていた。
皆、親切に教えてくれた。
着いた。50分くらいかかった。
これはいい運動。
足腰も鍛えられて、自律神経を整えるのにも良さそう。
厄除けを祈願し、お守りもいただいた。
巫女さんが、滋賀のイントネーションで、
「よいお参りです」
と言ってくれて、ほのぼのした。
弘法大師(空海)の像があった。
説明によると、41歳の厄年に空海さんはここを通りがかって、山に霊木があるのに気づいた。
そしたら白い鹿が空海さんを霊木まで運んでくれて、空海さんの厄除けができた。
これはありがたい、皆も厄除けしたらいいよ、と、霊木に観音様を彫った。
これが滋賀県大津市南郷の立木観音の始まりだそうだ。
私は今回、色々あってたまたまここに来た。
ネットで適当に安宿を探して予約しただけだ。
まさか自分が、本厄の年に滋賀の大津にふらっと立ち寄るというライフイベントで、空海さんとかぶるなんて、思いもよらなかった。
人生は面白い。
この旅は5泊6日なので、まだしばらくつづきます。
次は源氏物語が書かれたあのお寺に行った話です。
(て言うか、源氏物語が滋賀県で書かれたって知らなかった)
③へつづく。