京都の四条堀川の交差点を少し東に入った場所にあるラーメン屋『麺対軒』。このお店に出会って以来、京都に行くときは必ず立ち寄るお店になりました。この連載《好きな京料理は麺対軒》では、麺対軒が好きすぎる廣田西五がお店で食べたラーメンの記録を淡々としていきます。
連載を始めるにあたり、やはり自分の原点である一杯目を紹介します。2018年12月、取材で京都に来ていた夕方、取材までの時間にパパッとごはんを食べようと飛び込んだのがこのお店でした。
17時過ぎという微妙すぎる時間だったので、お店にはお客さんは誰もいなかったと記憶している。何を食べるべきか全く考えていなかったけど、目に飛び込んできたのは「麻辣麺」のメニュー。酸味・甘味・苦み・辛味・鹹味、ちょっと待って鹹味(かんみ)ってなに?? とか思いつつ迷わず「麻辣麺」をオーダーしました。
一口スープを飲み、麻辣麺の名にふさわしいラーメンであることを確信する。その、赤く暗いスープの特徴は、まさに酸味・甘味・苦み・辛味・鹹味、、、いや、苦みはちょっとよくわからない。が、懸案のアレですが、
鹹味=塩からい味。
一般的にはしょっぱさの塩味みたいなモノだが、鹹味という言葉を使うところにこのお店の生き様を感じてしまう。ちなみに、薬膳で使われている言葉とか。単なる塩味ではなく、素材からにじみ出てくるような塩加減のこととか。
12月、真冬と言うほど寒くはなかったけど、麺対軒のラーメンを食べてからはほとんど寒さを感じることはなかった。単なるラーメンの熱さのみならず、体の芯から温まるそんなラーメンだったことを記憶している。そう、全てはこの一杯からはじまったのだ。
心に残るラーメンを。
麺対軒の至る所に書かれている「心に残るラーメンを。」が好きなんですよね。京都はラーメン激戦区で、全国展開しているラーメン店がいくつも京都の街から生まれています。個人的に麺対軒がそのような展開になって欲しいと思っているわけではありませんが、いつまでもあの味を食べ続けたいです。好きな京料理は麺対軒、などという煽り気味なことをタイトルにしていますが、今後も純粋に麺対軒の魅力をお伝えします。